子猫を拾ったらすべき事。緊急時の対応など動物保護施設元職員が解説

子猫を拾ったらすべき事。緊急時の対応など動物保護施設元職員が解説

捨て猫や親とはぐれた子猫を見つけてしまったら、放って置けないですよね。母猫とはぐれた子猫は3月〜6月くらいに多くなりますが、秋生まれの子猫もいます。子猫は一人では生きていけません。保護したらまず何をすべきかをまとめました。


保護したらまず保温

保護する前に。側に母猫がいませんか?

子猫を見つけた時、箱に入っている、袋に入っているなど、明らかに捨て猫の場合を除き、母猫が短時間場所を離れているだけの場合もあります。

子猫は生まれてから10日くらいは目が開いておらず、自ら移動することは出来ませんが、
猫はメスのみが子育てをする為、母猫が食事の為にどうしても子猫のそばを離れる必要が出ることがあります。
その為、すぐに保護をせず、母猫が戻ってこないかどうかをしばらく観察をして下さい。
育児放棄をしたのでなければ、まだ体温調整ができない目が開いていない子猫から長時間離れることは無い筈です。
また、母猫は出産後、何度か子育ての場所を移動します。
引っ越しは母猫が一頭一頭子猫を咥えて行う為、子猫だけになる時間がでます。

子育てをしている母猫がいるならば、離乳するまでは子猫と母猫は離さないで下さい。

可能であれば母猫に暖かい寝床を与え、十分な給餌をし、離乳後に不妊手術を施すのがよいでしょう。

もしも、見るからに衰弱している場合や、臍の緒が乾いていない状態で母親が側にいなければ、育児放棄されていますのですぐに保護して下さい。

保護したら子猫を温めましょう

保護したのがまだ猫に見えないくらいの赤ちゃん子猫の場合、すぐに温めることが大切です。
本来母猫の体温で温められているのですが、離れるとあっという間に体温が下がってしまいます。

湯たんぽ、使い捨てカイロや、お湯を入れたペットボトルをタオルでくるみ、柔らかい毛布(無ければタオル)を敷き詰めた箱やバスケットなどに入れて、その中に子猫を入れてあげましょう。
大人の猫の体温は38度から39度くらいなので、人が持って、温かいと思うくらいの湯たんぽなどを置いてあげて下さい。

体温調整できない子猫は、温めすぎると今度は体温が上がり過ぎてしまいますので、箱に子猫を入れる場合は、箱のの半分を温め、半分は毛布だけ、という様にして、子猫が自分で動ける様にしてあげて下さい。衰弱していない子猫は、自分でも多少は動くことができます。

また、箱などの中が暑くなりすぎていないか、子猫が寒い場所に移動して体温が下がっていないかなど、こまめ様子を観察して、調整をして下さい。

もう少し大きい子猫でも、雨に濡れたり、栄養が不足していたりして体温が下がっている場合があります。
もしも保護した子猫が触って冷たければ、毛布でくるみ、湯たんぽなどでしっかりと温めて、ゆっくりと体温を戻しつつ、一刻も早く動物病院に連れて行って下さい。
その際、急激に体温をあげすぎない様に気をつけましょう。

子猫を動物病院に連れて行く

赤ちゃん子猫

出来るだけ早く子猫用のミルクを与えたほうがいいですが、子猫の授乳経験がない場合は、保温しながらまずは動物病院に連れて行き、状態をみてもらうとともに、飼育についてのアドバイスを貰いましょう。

衰弱している子猫

保温して、一刻も早く動物病院に連れて行きましょう。
もしも動物病院がやっていない場合は、体温が戻ったところで何かしら食べ物や子猫用のミルクを与えて下さい。

元気な子猫

自力で食べられる場合は、子猫用フードを与えてからでも大丈夫ですが、外で暮らしていた子猫は何かしらの感染症にかかっていたり、ノミがついていることが殆どですので、空腹を満たしたら動物病院に連れて行きましょう。

子猫にフードやミルクを与え、飼育スペースを用意する

子猫を自宅で保護することになったら、給餌をして、暖かい寝床を用意してあげましょう。
もしもご自宅に先住の猫がいる場合は、子猫の駆虫が済み、体調が安定して、猫白血病、猫エイズなどの感染症を持っていないことが分かるまでは、完全に隔離し、接触をさせないようにしてください。

また、先住の猫が一年以内にワクチンをしていない場合は、必ずワクチン接種を行って下さい。
子猫がパルボウィルスに感染していると、お家の猫に感染する危険があります。
パルボウィルスは、大変感染力が強く、猫同士が接触しなくても人を介して感染することがあり、子猫や免疫力の低い猫では致死率が高い恐ろしい感染症ですが、ワクチンで防げます。

動物病院でパルボチェックをして貰えますが、約2週間の潜伏期間には反応が出ないこともあるので安心できません。

離乳前の子猫のミルクの与え方と環境温度

離乳していない子猫であれば、子猫用のミルクを与えます。
目が開いていない、歯が生えていない子猫であれば、確実に離乳していません。

個体差はありますが、口を開けてみて、奥歯が一本見えるくらいになってきたら、離乳期に入っています。
体重も個体差ですが、概ね300g後半から400gくらいが離乳期の目安です。

離乳期でもミルクを欲しがれば与えて大丈夫です。
フードを置いてもすぐに自分で食べ始めない場合は、まずはミルクを与えてみて、便の状態などを見ながら徐々に離乳させていきましょう。

【ミルクの与え方】

ミルクは子猫用の哺乳瓶やシリンジで与えます。
シリンジを使用する場合は、一気に流し込んで気管に入ってしまわないように注意が必要です。

ミルクは必ず子猫の腹が下側になる向きで与えて下さい。
子猫が母猫のミルクを飲む体勢です。
よく仰向けで飲ませている写真がありますが、仰向けで飲ませると、ミルクが気管に入り、誤嚥性肺炎を起こす危険があります。
どうしても立ち上がってしまう場合は、床と垂直に立つようして、それ以上反らない様に気をつけましょう。

生まれたての子猫は1日に6〜8回程度の給餌が必要です。
飲む量や体重によって、成長したら間隔を開けていきます。
ミルクの缶に、給餌量や回数の記載があるので、参考にして与えましょう。
一回に飲む量は、マニュアル通りにはいきませんので、その子に合わせて調整してください。

ミルクを飲んだら、排泄をさせます。
排泄をさせているとゲップが出ることが多いです。
ゲップが出にくい場合は、子猫を立てて、軽く背中をトントン叩いてゲップを出します。
飲み終わったら勝手にゲップする子猫もいます。

【排泄の仕方】

3〜4週齢くらいまでは、ミルクの度に、肛門や陰部付近をティッシュなどでトントンと軽く刺激し、排泄を補助しましょう。
排泄はミルクの後でも、前でも大丈夫です。
ミルク後の方が便がでやすい場合もありますし、ミルク前にすっきりした方がよく飲む子もいます。

1週齢くらいの子猫でも、何らかの刺激で、補助をしなくても排泄をしていることもありますが、それは自力排泄ではありませんので、必ず刺激をしてあげてください。

子猫用のミルクは大変吸収が良く、粉ミルクで育つ子猫は便が硬く、便秘になりやすい傾向があります。
また、弱っている子猫は下痢をする事があります。
排便の頻度や硬さ、色は、ミルクを飲んだ量とともに毎回記録し、異常を感じたら獣医さんに相談しましょう。

尿は毎回でます。でない場合は、毛布などが尿で湿っていないかを確認しましょう。

【体重を測る】

ミルクの量や排泄の状態の他に、体重も毎日測り、記録しましょう。
体重測定は、毎日大体同じ時間の、ミルクの前に測ります。
キッチンスケールの上に箱を乗せて、その中に子猫を入れて測ると測りやすいでしょう。

体重は1日に平均して10〜15gくらい増えます。
日によって5gだったり20gだったりしても、元気で食欲があり、排泄も問題なければ心配いりません。

もしも体重が減ったり、増え方が少ない場合は、栄養が足りていない、または下痢などで脱水している場合があるので、食餌量を増やし、獣医さんに相談して下さい。

【室温と飼育環境】

自力で排泄が出来るまでは、毛布を段ボール箱などに敷き詰めて、カイロや湯たんぽを入れましょう。
室温は27℃程度、湿度は50〜60%が適当です。

目が開くと、箱をよじ登って箱の外に落ちてしまうことがありますので、段ボール箱で飼育していた場合は、蓋付きのバスケットやペット用のケージ、子猫が登れない高さのサークルの中で飼育しましょう。

その際、ケージやサークルの柵の隙間から頭が出てしまうことがありますので、隙間や子猫の頭の大きさによって、ボール紙などで、ケージの内側を通気が出来る程度に塞いでください。

自力で排泄をしたり、遊ぶようになってきたら、飼育スペースを広げ、ケージやサークル内にペットシーツを敷いたり、小さめのトイレを準備します。
最初はトイレで排泄しなくても、置いておけばトイレを使えるようになります。
トイレに少量の尿の匂いをつけてみてもいいでしょう。

その頃にはサークルに屋根が無いと、子猫がサークルの外に脱走する危険が出ます。

【体を清潔にする】

一匹だけであればそれほど汚れることはありませんが、2匹以上いると、お互いの排泄物などで体が汚れることがあります。

ミルクを与えたらティッシュなどで口の周りを拭き、またお尻の辺りが便で汚れていたら、ぬるま湯とタオルで汚れた部分のみ優しく拭き取り、タオルでしっかりと乾かします。
全身をお湯につけたり、お風呂に入れると、乾かす過程で体温が下がり、それがきっかけで命を落とす場合もありますので、お風呂には入れないでください。

兄弟の子猫でお互いの陰部や耳などを吸ってしまうことがあります。
その刺激で排泄してしまい、体が汚れやすくなるのと、あまりに吸ってしまって、炎症を起こすこともありますので、あまりに体が汚れたり、炎症が起きるようであれば、離乳する頃まで、兄弟は離して飼育するとよいでしょう。

ノミがいる場合は、動物病院で駆虫してもらいます。
体がノミ糞で汚れている時は、ノミ取り用の櫛で優しくとってあげましょう。

【ミルクを飲まない時】

何らかの原因でミルクをどうしても飲まない場合があります。
特に、母猫の初乳を飲んでいない子猫は免疫がついていません。また、育児放棄された子猫は、弱いので母親が育てなかった場合もあります。

ミルクを飲まなければすぐに命に関わりますので、飲まない場合は動物病院に連れて行って下さい。
それまでの間はたとえ一滴づつであっても口の端から飲ませましょう。
また、ブドウ糖か、ガムシロップをミルクに少量混ぜてあげるといいでしょう。

離乳している子猫の場合

自力で食べられる大きさであれば、大きさや食べ具合により、1日に3〜4回程度に分けて
子猫用の離乳食や、フードを与えます。
500gを超えていればドライフードも食べられるくらいに成長しています。
フードとともに、水を置いてあげましょう。

離乳の時期は猫それぞれです。大きくてもミルクを欲しがる場合は、ミルクを与えて大丈夫です。いつかは離乳します。

感染症を持っている可能性と、危険防止のため、ケージが準備できれば、最初はケージの中で飼育しましょう。

ご自宅でそのまま飼育する場合は、子猫の大きさによって、慣れて来たらケージから出してあげましょう。

動物病院もお店も閉まっているときの緊急処置

子猫用のミルクが手に入らないとき

子猫用のフードはコンビニで売っていますが、ペット用のミルクは、ペット用品店や大き目のスーパーなどまで行かないと売っていないことが殆どです。

子猫は牛乳を与えると下痢をすることが殆どですので、牛乳は与えてはいけません。
小さな体で下痢をすると脱水症状で死亡することがあります。
また、腹痛でミルクを飲まなくなることもあります。

どうしても動物病院もやっていない、ミルクが手に入らないという時は、スキムミルクを与えるか、牛乳を水で倍に薄めたものを38度くらいに温めて与えます。その際、極少量のガムシロップ加えてもいいでしょう。
子猫用ミルクが手に入り次第、出来るだけ早く切り替えてください。

また、哺乳瓶やシリンジがない場合はスポイトで代用します。
それも無い場合は、熱湯消毒したタオルや布巾を指に巻き、ミルクを含ませて子猫に吸わせます。
たくさんは与えられず、また冷めやすいのであくまで緊急手段と考えて下さい。

もしもご自宅の近所に地域猫の世話をしているボランティアさんがいる場合は、ミルクをご自宅に持っている可能性がありますので、相談してみてもいいでしょう。

離乳している子猫が自力で食べないとき

ペースト状の離乳食や、ふやかしたドライフードなどを指先に少量取り、上顎になすりつけるようにして口に含ませます。
飲み込むようであれば、それを何回か繰り返します。
かなり弱っている時は、嚥下する力が弱く、誤嚥の危険があるため、無理をし過ぎないでください。

猫風邪症状で鼻が詰まっている時は、フードの匂いが分からずに、食べない場合があります。
口に少量入れてあげると自力で食べだすこともあります。

口内に炎症や潰瘍がある場合は、痛みで食べられないこともありますが、小さな子猫は食べないとすぐに脱水し、衰弱しますので、少しでも口に入れてあげましょう。
痛がる猫は口を閉じようとするので、指を噛まれないように気を付けます。

どうしても飲み込まない場合は、低血糖予防のために取りあえずガムシロップを舐めさせて下さい。
スポイトなどで与えてもいいです。

目ヤニや鼻水が酷い時

猫風邪症状のため、目ヤニで目がくっついて開かなかったり、顔中がカピカピになっていることがあります。
温かいおしぼりでそっと目や鼻を抑え、目ヤニをとってあげましょう。その際、無理に擦らないようにして下さい。
鼻も、鼻汁が乾いて塞がっていることがことがありますので、ふやかして優しくとってあげて下さい。
汚れていても丸洗いしてはいけません。

子猫の行き先を考える

子猫をそのまま家で飼育し続けるかどうかを決めなければなりません。
自宅で飼育できるなら、それが一番いいでしょう。
ペット不可の物件ならば、この機会にペット可物件に引っ越すという方法もあります。

どうしても飼育が無理な場合は、里親さんを見つけてあげましょう。
里親さんを見つけるのは、出来れば離乳してからがよいでしょう。
1ヶ月齢〜3ヶ月齢くらいで、少なくとも1回のワクチンが終了しているのが最もよい時期です。
知り合いに声をかける、近隣の動物病院にポスターを貼らして貰う、里親掲示板を利用するなどの方法があります。

動物保護団体は、常に限界まで動物を収容している為、個人からの受け入れをしていない所が殆どです。受け入れを要請するのはまず難しいと考えてください。各団体ごとに、HPで個人からの受け入れについて記載があります。

折角救った命です。
大変ですが、出来る限りよい環境を見つけてあげましょう。

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