猫は人と暮らすことをどう思っているのか?5つの世説を検証

猫は人と暮らすことをどう思っているのか?5つの世説を検証

猫といえば、自由気ままの代名詞のような生き物。人に愛されようなんて思っていなければ、人に対して特別な愛情など持っていないのでは?・・と思われることも。本当のところはどう思っているのか、研究者の意見や研究結果をまとめました。


1.猫に社会性は無い?

猫は単独行動をするので社会性は無く、そのため社会的な行動はをとらないと誤解されることがあります。

猫は群れをなす習性は無く、縄張りを形成し、単独で待ち伏せ型の狩りを行う動物です。
したがって、猫同士のコミュニケーションは主に縄張りを護ること、そして他の猫との接触を避けることを目的としています。

しかしながら猫の行動学の研究では、十分に食料のある環境であれば、外で暮らす猫であっても、猫はグループになって暮らすことがわかっています。

グループを形成するのは、主に母猫を中心としたその娘たちで、共同で子育てをすることもよくあります。
オス猫は、近親交配を避けるため、ある程度成長したらグループを出て行きます。

猫の社会化期は3週齢から8週齢くらいの非常に短い期間になります。
その期間にどのように他の猫や人間と接触したかが、その後のその猫の社会性に大きく影響を与えます。

なので単独で過ごすことを好む猫もいれば、他の猫と暮らすことを好む猫もいます。

グループで過ごす猫たちは、お互いの匂いを嗅いだり、グルーミングをしあうなどのコミュニケーションをとっています。
これは余計な争いを避けながら暮らして行くために猫が身につけた社会的な行動といえます。
単独で暮らす場合も、一緒に暮らす人間とのコミュニケーションは必要です。

猫は決して社会性の無い生き物ではありません。

2.猫は人を人として認識していない?

イギリスの動物行動学者ジョン・ブラッドショー氏は、著書「猫的感覚」の中で「猫は犬のように人間をとらえていない」と記載しています。

犬に関しては多くの研究がされており、犬は人間を、犬とは異なる存在と捉えていることは明らかになっています。
しかし猫の場合には、人間に対する行動は他の猫に対する行動と区別がつかず、人間を異なる存在と捉えていることを示唆する行動は明らかになっていないということです。

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確かに、猫は猫に接するように人間に接してきます。
犬にとっては人間はリーダーであるのに対し、猫にとって人間は、他の猫と同様の立場ということでしょう。
猫と暮らす人にとっては、これはとても頷けるのではないでしょうか。

猫は人間が自分たちよりも大きいということは、はっきりとわかっているそうです。
そして、自分たちよりも不器用だということも。

3.猫に人の愛情は不要?

猫が飼い主のことを認識しているかといういくつかの実験が行われています。

猫は飼い主の声を認識するか

東京大学が20頭の猫に対して行った実験があります。

それぞれの猫の家で、飼い主の声と見知らぬ人の声を聞かせて、猫たちの反応をみたものです。
それによると猫たちは、飼い主の声をはっきりと聞き分けていることがわかりました。

とはいっても、耳や頭でわずかな反応を見せるだけで、声の方に歩いていこうとも、飼い主の姿を探そうともしませんでした。

猫は飼い主にどのような愛情表現を示すか

また、ニュージーランドでダニエル・ミルズ氏が行った実験は、猫と飼い主が一緒の部屋にいて、そこに見知らぬ人が入ってきた時の反応と、飼い主が出て行った時の反応をみるもので、それぞれ3分間の様子が記録されました。

"Domestic Cats (Felis silvestris catus) Do Not Show Signs of Secure Attachment to Their Owners"
http://journals.plos.org/plosone/article/asset?id=10.1371/journal.pone.0135109.PDF

人間の赤ちゃんが母親に対してどのような反応を示すかという実験をベースに行われたものです。

これは犬に対しても行われましたが、犬と猫では大きな反応の違いが出ました。

犬は見知らぬ人が入ってきても飼い主にべったりなのに対し、猫は見知らぬ人の匂いを嗅ぎに行きます。

さらに、犬は飼い主の姿が見えなくなると不安がり、戻ってくると駆け寄っていきますが、猫は飼い主がいなくなっても戻ってきてもチラ見する程度で、ほとんど気にしませんでした。

猫は飼い主を認識しているが、その場にいてもいなくても気にしていない、という結果です。

でも猫の飼い主にしてみればもともと知っていたことであり、特別なショックを受けることもなく「猫だから。」と笑う程度でしょう。

これらの研究から見えてくるのは、猫が人の愛情を必要としていないという結果ではなく、猫は赤ちゃんや犬のように飼い主に依存した存在では無いということです。

4.猫は飼い主と離れても平気?

「猫は人につかず、家につく」といわれることがありますね。
猫は飼い主がいなくなっても平気なのでしょうか?

明らかに平気では無いことは、猫を留守番させて旅行に行ったことのある人であれば誰でも知っているでしょう。

猫が環境の変化が苦手であることは有名ですが、猫にとっては「いつもいる人間の不在」というのは、とても大きな環境の変化になります。

人は愛猫がいなくなれば、大きな喪失感を感じる可能性がありますが、猫はどうでしょうか?
猫に喪失感があるということは、今の所わかっていません。

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兄弟でずっと一緒に過ごしていた猫のどちらかが先に亡くなった場合、残された猫は、猫を探し回るように鳴き続きたり、食欲が落ちたり、人間にこれまで以上に甘えたり、体調を崩したりすることがよくあります。

これは喪失では無いのでしょうか?
ジョン・ブラッドショー氏は、これは「一時的な不安」からくる行動であり、喪失では無いだろうと考えています。

猫が人を猫と同じように捉えているとすれば、飼い主がいなくなった場合に猫が感じるのは、不安感だといえるでしょう。

5.猫に愛情は無い?

飼い主がいなくなった時の喪失感が無ければ、愛情が無いのかといえば、そうではありません。

怒り、愛情、喜び、恐怖、不安という基本的な感情は、猫の脳の最も原始的な領域で生み出される直感的な感情になります。

しかしながら、喪失、罪悪感、誇り、共感などは、自分以外の生き物の精神的プロセスを理解したり、過去を回想したり未来を想像したりして生み出される感情であり、猫がそれをしていようには見えないというのがブラッドショー氏の意見になります。

嫉妬に関しては、猫も嫉妬をするいうのが多数の飼い主の意見です。
これに関してブラッドショー氏は、嫉妬はその場で感じる感情であり、考えることすら出来なくても嫉妬をすることは出来るといっています。

2頭以上の猫と暮らしていると、人が他の猫を撫でようとしたら邪魔をしたり、膝に載せていたら追い出して乗ってきたりすることもありますよね。

他の猫のほうが得をしていると猫が感じたら、それが猫にとって嫉妬の感情だということです。

これって、回りくどくてわかりにくい猫らしい愛情表現ではないでしょうか?

まとめ

猫は独立した存在であり、人間の子どもや犬が示すような愛情を猫に期待はしないほうがよさそうです。
そして猫も、人間からそのような種類の愛情を求めてはいないようです。

でも、それは決して猫と人の間に愛情は存在しないということにはならないでしょう。
そうでなければ、寄り添って寝たり、撫でることを要求して尻尾をたて、喉を鳴らすことは無いでしょうから。

猫と人は、お互いに依存しあうのでは無い、対等な関係で結ばれているのではないでしょうか。

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